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2016-02-03

I LO HA NI HO HE TO

TINÖRKSらしくない音源ですが、
新曲「I LO HA」公開しています。

期間限定で無料DLできますので、
ぜひこの機会に聴いてみてください。







昨年11月に参加したSAMURAI JAPONで
せっかくフランスの地で演奏するし、
日本の文化を紹介するというテーマのもと
制作した曲なので、もはや北欧エレクトロニカでは
ないのですが、ひとつの記念のような位置付けとして
きちんと音源化しようということになりました。

今回、ジャケットデザインは特別に
cshiさんに描いていただきました。

淡く、はかない色彩感、程よい線の太さ加減、
何か言いたそうで、けれどあえて言わない
仕草やその他の振る舞いで伝えようとする女性の
たたずまいがとても気に入っています。




さて、音の方ですが、
お聴きしていただくとお分かりいただけるように、
とても「和」の感じが出ていると思います。

コード進行は全く日本的でも東洋的でもなく、
むしろ西洋の和声なんですが、
有名な「いろは歌」をモチーフにしているので
その引力、エネルギーに支配されて、
かつ音色も「和」を意識しているので
全体として日本の何かを感じれるようになったと思います。




コード進行


【A】
A9/D | A9/D | A9/C# | A9/C# | C9 | C9 | Bmaj7 | Bmaj7 | B9 :||


【B】(歌はじまり)
Am7 | Am7 | Gm6 | Gm6 | A7/G | A7/G | Gm6 | Gm6 |


【C】
Fmaj7 | C/E | Fmaj7 | C/E | Fmaj7 Bm(b5) | C9/F# | Fmaj7 | Ebmaj7 | Ebmaj7 |


bpm=89




ピアノのseqは少しリズムをずらしてます。
その上で鳴っているコードを弾いてるピアノの
音はリズムが全くジャストではなく、
かなり揺れてます。

良く言えば抑揚や緩急とか言いますが、
けれど、リズムがジャストではなくても
ポイントとなるリズムを抑えれば、
全体としては曲としてきちんとハーモニーや
グルーヴ、心地よさを出せるんですね。

曲の頭から鳴っているのは
南部鉄器を使用した岩手県産の風鈴

とても通る澄んだ良い音がします。

風鈴は日本の誇れる文化のひとつですね。
風の輪郭を知ることのできるひとつのツールです。

メロディーを担当するのは
琴に見立てたラップハープ

こういうメロディーを弾くと
まるで和楽器のような響き方をするので
不思議です。

きっと倍音の鳴り方とか似てるんでしょうね。

フランスで演奏した時は、
ギターのトラックは入ってなかったのですが、
今回、霜野さんにお願いして
アレンジを考えてもらいました。

曲のテンポはゆっくりで一聴すると単純に聴こえますが、
おそらくTINÖRKSのこれまでの曲の中で
もっともアレンジの難易度が難しかったと思います。

メールで何回もディレクションして修整してもらった
おかげでイメージ通りのアレンジになりました。

本人はほんとに苦労したと思います。
霜野さん、ありがとう。


中盤から唄が入りますが、
その後半部、盛り上がるところは、
元々入ってなかった白玉のベースの音を入れて
ハーモニーの厚みを出しています。




ところで、いろは歌

知っているようで詳しくは知らなかったのですが、
曲を作るにあたって調べました。


いろはにほへとちりぬるを
わかよたれそつねならむ
うゐのおくやまけふこえて
あさきゆめみしゑひもせす




色は匂へど 散りぬるを
我が世誰ぞ 常ならむ
有為の奥山 けふ越えて
浅き夢見じ 酔ひもせず




作者は不明みたいですね。

文献として最初に見られるのは1079年成立の
「金光明最勝王経音義(こんこうみょうさいしょうおうきょうおんぎ)」、
経典の発音などを解説した書です。その巻頭に、
かなの一覧表として「いろは歌」がかかげてあるとのことです。
(こちらのサイトを参照させていただきました。以下も含めて)

いろは歌は、すべての仮名を重複させずに使って作られた誦文(ずもん)つまり、
一種の呪文のことで七五調の形式です。

のちに手習いの手本として広く受け入れられ、
近代にいたるまで用いられました。

その詩の内容は、実は奥深いです。


「色は匂へど 散りぬるを」


「色が匂う」というのは花の色のこと。
花は桜の花。
その花の色が美しくあでやかに色づいていること。

それを例えて「色がにおう」と言っています。

しかしそういう美しい花もやがって散ってしまうと。


「我が世誰ぞ 常ならむ」


誰がそんなに(花のように)栄えていられようか。
いや誰もそうではない、と。


「有為の奥山 けふ越えて」

「有為」とは、きっかけがあって、そこから起こる世の中の一切のことで、
言い換えると、人生そのものを意味します。

迷いが多く訪れる人生はまるで山の奥深くを進むようだという、例え。

「けふ」は今日のこと

けれど、その山の中も今日の日こそ乗り越える、
乗り越えることができると。


「浅き夢見じ 酔ひもせず」

はかない夢はもう見ない
つまり、あれこれ欲しいという欲や名誉など煩悩を
考えないで、それらから解放されるという決心、心構え


なんだが高校の頃の古典の授業を思い出しますね。

同じ文字を重複させずに文章を作り、
そこに悟りの意味を含ませた
「いろは歌」には実はこんな意味がありました。

本当はもっと暗号的な何かがあるのかもしれませんが、
古来の日本人が産み出した綺麗な響きの日本語の
作品に惹かれるものはありますね。

成立年が1079年としてそこから現代まで930年以上を経ると
いろは歌もついにエレクトロニカアレンジになってしまうというのも
おもしろいと思います。

本当は日本人ではなくて、それ以外の文化圏の人が
歌うともっと面白いものができてたのかな。




人はいつの時代もあらゆる欲に振り回され、
それに焦燥し、どこかに悟りを見つけようとする
その繰り返し

子供の頃から馴染み深い「いろは歌」から
改めて人生の考え方を学べるなんて
思ってもみませんでした。

でも、TINÖRKSでアレンジすると
記号的な要素が強くなりますね。

期間限定DLなので
この機会によかったら聴いてください。


建水






PV「I LO HA」

I LO HA from Hosei Tatemizu on Vimeo.

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