2016-02-19

旅のラゴス メインテーマ(unofficial)

去年の3月17日に書き始めて
もう1年近く経ちましたが、
ようやく『旅のラゴス』の
メインテーマ"LAGOS"(unofficial)を
制作し終わりました。

『旅のラゴス』は筒井康隆さんが
1986年に出版された作品です。


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誰かに頼まれたわけでもないのですが、
この作品が大好きなのと
音楽が、それもメインテーマ的な
ものが欲しいなと読み始めた時から
思っていたのが動機で、曲を書きました。
(書いてしまいました)

ネットで調べるとここに
Yoshinobu Shirakawaさんが1995年に
リリースされたサウンドトラックがあるのを
見つけましたが、いかんせん
どんな曲なのか試聴できず...
とても残念です。

TINÖRKSでリリースするか
あくまで自分のソロ作品として
リリースするか迷いましたが、
自分だけの表現では完成できないなと思い、
雫に参加してもらい、
結果的にはソロの作品テイストを持った
TINÖRKSの音になりました。


"LAGOS" [期間限定Free DL]





releases February 20, 2016
Shizuku Kawahara on Flute/Lap Harp/Hand grinder coffee maker
Hosei Tatemizu on Keyboard/Xylophone/Spark Shaker/Programming/Mix/Mastering and adding artwork


Special Artwork by Louis Carrette


※ダウンロードのファイル形式で
WAV(ワヴ)はファイルサイズは大きいですが
圧縮していないファイルですので高音質になります。
mp3だとMP3 320というのがオススメです。


以下、物語のネタバレになる内容も含むと
思いますので、まだ原作を読まれていない方は
どうぞご注意を








◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆


北方の都市リゴンドラから南へ旅する
主人公の男ラゴスは行く先々で
たくさんの人や出来事に遭遇する。

物語の舞台となっているのは、
地球ではない別の惑星

その星に2215年と3ヶ月と4日前に
高度な文明社会を謳歌していた
1003人の人間が宇宙船に乗って
たどり着いた。

この星には高度な文明などなかった。

その人々はすべて優秀な頭脳と教養を
身につけた学者ばかりであったために、
すべて機械の手助けがないと
何もできなかった。

機械が古びて壊れたならば、
かれらはなす術がなく
高度な文明は
数年にして原始に遡りしてしまった。

この星に生きるすべての人間は
優秀な学者たちの子孫にあたる。
彼らは高度な文明を失った代わりに
空間転移、感応、予知などの超自然的能力に
目覚めたか、身につけたか分からないが、
それらの能力を社会生活の中で
生かしていった。

物語はラゴスが
ビタハコベの白い花が点々と咲いている
シュミロッカ平原を故郷にもつ
ムルダム一族の集団に加わるところから描かれる。

そこで集団転移、いわゆるテレポーテーションの
パイロット(ナビゲーター)を務め、
一族からの信頼を得る。
ともに過ごす中で幼い少女デーデとの運命的な出会い。

その後、自分が思い描く理想の顔を
似顔絵として描くザムラや、
壁を通り抜けることのできる能力を持つ
ウンバロとのやり取りがあり、
街路に空けた穴にムラサキコウが卵を産み、
それを大蛇が呑み込もうとしたりする街を訪れたり、
銀鉱で7年働かされる奴隷になったりする。

南の地へ着いてからは、
先祖の人間が乗ってきたとされる
不思議な金属で作られた巨大な宇宙船を
取り囲むようにしてできたキチの村に滞在し、
先祖が残した大量の書物を何年もかけて読みふける毎日。
コーヒーという飲み物があるということを知ったり、
村の娘と結婚したり、不本意ながらもその村の王様になったり、
いつのまにか村が発展したりする。

そして時期が来て、北の街へと戻る決意をする。

故郷リゴンドラの街に着くまでの間、
再び奴隷の身分になるが、
無事に街に戻る。

故郷の街で過ごす中、
ある日、父の蔵書からある画家の放浪記を発見する。
書物の中から石版刷りのスケッチが10数枚あり、
その中の一枚に伝説上の人物である
氷の女王として玉座に腰をおろす
成長したデーデの姿があった。

それを機にやがてラゴスは
さらに北の地へ旅する決意をする。

北国の地で森の入り口に住む森番の
番小屋の男ドネルと出会い、ひとりの絵描きが描いた
氷の女王の絵のことについて話をきく。

物語の終盤、ドネルとの会話の中で
ラゴスは言う。

「それにわたしは、そもそもがひとっ処(ところ)にとどまって
いられる人間ではなかった。だから旅を続けた。
それ故にこそいろんな経験を重ねた。
旅の目的はなんであってもよかったのかもしれない。
たとえ死であってもだ。人生と同じようにね」

そして再び歩きはじめる。


◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆






もう少し詳しく話の内容を書ければいいのですが、
原作が素晴らしいのでぜひ読んでください。

今回メインテーマを書くにあたって
物語の要素をできるだけ入れようと
試みました。

説明すると蛇足になるかもしれませんが、
今回はあえて書こうと思います。




曲の冒頭でカチャカチャ鳴るのは
手挽きコーヒーミルに入れたコーヒー豆の音。

それと一緒に豆を挽く音も効果音として
入れました。
あと、音は聞こえませんが、
豆を挽いた後のコーヒーの香りも
マイクで集音しています。(笑)

曲を聴いているうちに
なぜか心地よくなったのなら
多分コーヒー豆を挽いたときに香る
フレグランスの効果かもしれません。


キチの村に着いて以降、書物から
コーヒーの存在を知ることになりますが、
これが莫大な財を村にもたらすことになります。
それだけコーヒーというのは貴重なものとして
描かれています。




浮遊するSEの後から本編がはじまるイメージです。

遠い昔、宇宙船に乗って宇宙を航行できるまでの
文明を築き上げた人々
子供たちの合唱は誰もが同じである(悪い意味で)という
没個性的な社会の蔓延、飽和状態を、
栄えた後は文明の衰退が訪れる様子を
浮遊する落ち着かない冷めたピアノの音で
表現しました。

ピアノの音色の後に、鳴り出すシャラシャラ
してる音はSpark shaker(スパーク・シェーカー)

去年の夏頃にamazonで注文して入荷が延期になり、
2ヶ月ほど続いたので、一旦購入を諦めて、
その後、入荷した時にようやく手に入れることができた
パーカッションです。

Spark_shaker_2


シェーカーの片側に皮を張っていて、
それを叩いても音が鳴ります。
ざっと思いつくだけでも10種類以上の
音色を出せる小さくておもしろい楽器です。

曲中ではマレットを使用したものと
指で叩いた音の2種類のパターンを
組み合わせています。

その後ろで遠慮がちに鳴っているのは
スズキ製のシロフォン
珍しく自分で演奏しました。

時折鳴る鉄の錆びた重たい扉を開けるような効果音は
ラゴスが不本意にも奴隷になってしまう様子を
表しました。

リズムだけのブレイクを挟んで以降は
物語の舞台となる惑星での様子を
描きました。

アイリッシュ・フルートの音色で話の核となる「旅」を表し、
後ろの方で鳴るseqやfill inで登場する
SE(主に右チャンネルから)の音で
超自然的能力の存在を表現しました。

機械に支配される高度な文明社会を
失う代わりに、未開文明の中で、
潜在能力が開花するというのは
ある意味皮肉だと思いますが、
見方によっては、後者の方が
人間的には進化していると思います。

フルートのアナログな音とシンセの音との
コントラストが「旅のラゴス」の背景にもある
原始的な要素と超能力的な要素の組み合わせとも
通じると思っています。

アイリッシュ・フルートのレコーディングは
特に大変だったんですが、
(いつも録り音に苦労する...)
雫に何回も録り直してもらい
おかげで素晴らしい抑揚のテイクを収めることが
できました。

楽器についてのマニアックな紹介はこちら

お聴きいただいてお分かり頂けるとおり、
この曲はアイリッシュでもスウェディッシュでも
ないので、とても吹きづらいらしいです。

今回からマイクを2本立ててLowの帯域を
別に録ることにしたのも上手くいってよかったです。


カウンターメロディーのフルートが登場するところから
後ろの方で曲の最後までビリビリ鳴っているデジタルノイズ的な音が
ありますが、それは高度な文明社会の名残的なものを
意図して入れました。




フルートのセクションの後、いわゆるcoda(後奏)の部分で
奏でられるのはlap harp(ラップハープ)

物語の最後でさらに北の地へ向かうラゴス
番小屋の男から氷の女王の話を聞いた際に、
再び頭をよぎったデーデとの日々

だからハープの音でその時の
ラゴスの心象風景を描こうと思いました。

ハープの音にはピッチも変化する
へんてこりんなリヴァーブを
重ねましたが、ハープの音にとても
良く合っていて今後も使う機会が増えそうです。

リヴァーブはlogic pro xに
デフォルトで入っている
プラグイン

logicのプラグインは優秀な物ばかりで
助かります。




それから、今回のジャケットのartworkですが、
フランスでのSAMURAI JAPONの会場で知り合った
イラストレーターのLouis Carretteさんに
ベーシックなデザインを描いていただきました。


Lagos_jacket_800_800




彼は日本語も少しだけ話せる方で
パリでの演奏の後に、CDを買ってくれて、
TINÖRKSの音楽をとても気に入ってくれています。

今回たまたま彼のオリジナルの作品をFBで送ってくれて、
日本人では描かないタッチの作品だったので
面白いと思ったのが動機で、「旅のラゴス」の
イメージでオファーしたら快く描いてくれました。

最初は必ず鉛筆で描いてそれをスキャンして
色を塗るスタイルらしいです。

出来上がった作品を元に僕が質感を調整したり、
オブジェクトをいくつか加えたりして、
世界観を作り上げていきました。

なので、自分としては記念すべき
初のartworkにおける
コラボレーションになりました。

Merci mille fois. Louis

フランス人の感性とニッチな要素を持った
日本人の感性の融合(笑)

さすがにこれは予想していなかっただけに
日々何があるか分かりませんね。

ちなみにデザイン制作料の送金方法を
どうしようか迷ったのですが、
Paypalが使えたのでとても楽に
時間差なく行えました。

海外の方に何かを依頼する場合、
Paypalを使うとわざわざ銀行口座を
通しての送金をする必要がないので
とても便利に感じました。

手数料も銀行よりPaypalの方が安いです。




そういうわけで「旅のラゴス」のメインテーマ(非公式)
『LAGOS』







期間限定でFree DLしていただけますので
もしよかったらこの機会にどうぞ
※無料ダウンロードはこちら

原作を読みながら曲を聴いていただけると
うれしいです。

ジブリで映画化の話はやっぱりないということですが、
いつか映画化して欲しい作品です。


ラゴスのように旅が次の旅を導くような
そういう生き方もすばらしい

人はいつの時代も探究心を持っているので、
それを思い出してまた精進しようと
改めて考えさせられる作品です。




お読みいただいて、ありがとうございますm(_ _)m




建水

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2016-01-23

旅のラゴス

Ragos




筒井 康隆さんの「旅のラゴス」という作品、その世界観がとても好きで
それが高じて今、メインテーマを勝手に制作中です。

初版発行が1986年なので30年前に書かれた作品ですが、
まったく色褪せていなくて、むしろ今読むのが
ちょうどいいくらいなんじゃないかなと思くほど、
確固とした物語に感じます。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


(あらすじ)

北から南へ、そして南から北へ。

突然高度な文明を失った代償として、
人びとが超能力を獲得しだした「この世界」で、
ひたすら旅を続ける男ラゴス。

集団転移、壁抜けなどの体験を繰り返し、
二度も奴隷の身に落とされながら、
生涯をかけて旅をするラゴスの目的は何か?

異空間と異時間がクロスする不思議な物語世界に
人間の一生と文明の消長をかっちりと構築した爽快な連作長編。 

(Amazonより)


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




初めて読んだのはかれこれ5年前ほどになりますが、
少し前になぜかブームになって増版され、
10万部くらいは売れたらしいです。

しかも読者のほとんどは男性らしくて、
主人公のラゴスに自分を重ね合わせて
彼が旅をする中で感じる様々なことを
一種のロマンとして読者も感じれることが
この本の支持につながっているのかなと
思います。

今までに3、4回程読んだ記憶があって、
それに好きな場面は部分的に何十回も
読んでいるので完全に自分のツボな物語です。

個人的にこの「旅のラゴス」の映画化を
心の底から熱望しますが、映画化の噂はあれど、
やっぱりあくまで噂らしいです。
残念ですが。

なので自分で音楽だけでも作ろうと
勝手な衝動ですが、いつになく気合入れて作ってます。




物語の根幹は高度な文明を持った人類がある惑星に
行きついて、けれど高度すぎる文明に頼るが故に
機械がないと何もできないため、未開の星では
何も出来なくなっていき、しかしその代わり、
潜在的に眠っていた特殊な能力が少しずつ開花していき...
というSFがベースとなっています。

なので音楽も前半は高度な文明を謳歌し宇宙すら旅する人類を
後半は高度な文明を失って以降、未開社会の中で
潜在的に眠っていた特殊な能力を呼び覚ました人類をそれぞれ描いています。
まだ公開できないので、あくまで文章での説明になりますが、
「旅のラゴス」が好きな方はぜひ楽しみにしてください。

またTINÖRKSの音源として発表する予定ですが、
過去に書いた「花鳥風月」や「バオバブの朝」など、限りなく
ソロの作品に近い世界観になると思います。


公開はもう少し先になる予定です。

ではでは




建水

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2011-08-26

旅のラゴス

『旅のラゴス』
筒井康隆著 新潮文庫

読みました。
amazonでレビューを見て、なんだかおもしろそうなSFだと
興味を持ったのがきっかけです。

ラゴスの旅ではなく、旅のラゴス。
読んで気付きましたが主人公は旅なんだと。
だから倒置的なこのタイトル。

全体として一気に読めるほどそれほど長くない物語ですが、
一章ごとの話が本当に秀逸です。
各場面が鮮明に頭に浮かぶほどの文章。でも起承転結の「転」までしかない。
想像の余白をあえて残したまま次の場面へどんどん進んでいきます。

時折現れる伏線に感動し、各登場人物の細かな描写に共感、同化していく時に
なんとも心地よいカタルシスを感じることができました。

ラゴスが旅する世界は原始的で、時に野蛮で不便不条理で、、、でも
倫理的でもあり、そして必死に熱中し何かを創造している時の
高揚感に包まれたもののように感じました。

それは上質な想像的刺激になり得るので、個人的には非常に右脳を触発されました。
もうすぐいい音が生まれ旅しそうです。

-.-.-.--.-.-.--.-.-.--.-.-.--.-.-.--.-.-.--.-.-.--.-.-.--.-.-.--.-.-.--.-.-.--.-.-.--.-.-.--.-.-.--.-.-.--.-.-.-

自分の家というか庭というか、草の上でまったりするような環境音楽やってます。

tinörks(ティノークス)
Tinorks_prof_hp

tinorks(ティノークス)
2007年極東の日本にてまだ見ぬオーロラを
夢見ながら結成。
Vocal,Tin Whistle,Melodion,Indian Flute,Metallophonを
愛する川原雫とKeyborad,Synthesizer,Programming,
Arrangeを担当するギターを挫折した建水歩星による
2人で4人分ユニット。
ユニット名の由来はジャンルに捉われない表現活動を
するという気持ちを込めてアナログにはじき出された造語。
ケルト音楽、ライト・エレクトロニカ、印象派に影響を受けた
オリジナル楽曲を制作し、ヨーロッパで活動希望中。
「間」をひそかに大切にした環境音楽的なものや、
浮遊するリズムと言葉そして木漏れ日の唄が組み合わさる
カフェテラスな休日音楽、どこにでもある日常が少しだけ
空想の世界に変わる音楽を目指し、まだ音旅の途中です。

Sounds to change eveyday a wee bit into the farthest world

音源試聴はこちらから↓↓↓
muzie

-.-.-.--.-.-.--.-.-.--.-.-.--.-.-.--.-.-.--.-.-.--.-.-.--.-.-.--.-.-.--.-.-.--.-.-.--.-.-.--.-.-.--.-.-.--.-.-.-

□【新譜】2nd CD『gyrocompass』(ジャイロコンパス) 
ライブ会場、HPにて発売中 ¥1500
Gyrocompass_new

□1st CD『nayuta』ライブ会場、HPにて発売中 空想込み価格¥1500
Nayuta_jacket

mp3ファイルはitunes store、amazon.comで購入できます。

□Sound&Recording Magazine(2010/1月号) 『KEN ISHII 15TH ANNIVERSARY』
コラボ企画に入選。入賞音源を集めたコンピ『KI-15The Collaborations』
iTunes store、着うたサイトTONE.scで発売中。
『KI-15The Collaborations Part2』 7.KEN ISHII&Hosei Tatemizu
Ki


official site: http://homepage2.nifty.com/mmp/
My Space: http://www.myspace.com/tinorks

Sounds to change eveyday a wee bit into the farthest world

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