2015-07-28

時間と空間のテープ

tinörksの新曲『Tape』





カセットテープのフォーマット(DLコード付)で
A.C.E.さんの『Reflection』とのスプリット盤として
official siteでも販売開始しました。

リリース元は「神戸から世界へ」をキーワードに音楽を発信するスペースドッグ!レコード
今年の4月にお話しをいただいたリリースパーティーも含めたプロジェクトでした。


Logo


(※旧グッゲンハイム邸でのリリース・イベントの様子はコチラ)




最初、カセットテープ?とお聞きして疑問に思いましたが、
詳しく伺うと、最近ではあえてカセットテープで
新譜をリリースすることが海外を中心にブームになっていて、
専門のレーベルまであると。


調べて見ると…




ドイツ(ケルン)
CAMP MAGNETICS

※ドイツの他のテープレーベルまとめ


イギリス(ロンドン)
POST/POP RECORDS
※ここで試聴できます


アメリカ(シアトル)
Lost Sound(tapes and records)


日本(福岡)
Duenn(ダエン)

(上記以外にもまだまだ…)




検索してみるとたくさんヒットする。
アメリカ西海岸のギターポップやドイツらしい硬いエレクトロなど
ジャンルはばらばら。デザインも尖っているものから、
味のある質感のものまで。(なんとまあ...)




カセットテープは音楽を好きになりだした高校生の頃、
CDをレンタルしてはひたすらテープにダビングし、
お気に入りのmixテープを作るということを繰り返していた思い出がよみがえります。

その時はテープしか記録媒体がなかったので、CDよりも音質が悪いとか
曲の頭出しに時間がかかるとか思わず何も不満を感じることはありませんでした。

大学の頃にMD-DATAに記録するMTRを購入し音楽を作りはじめましたが、
MTRから曲をトラックダウンする先はカセットテープでした。

まさにデモテープの時代

なので、カセットテープで曲をリリースするということ自体は
自分にとって何も新しさはなく、時代が一周している感もありますが、
今回、あえてテープで作品を公式にリリースするという依頼をいただいて、
その意味を考えるとても貴重な機会になりました。

リリースイベントの前にspace dog recordの
オーナーである河原拓宏さんがおっしゃっていた言葉を
まずは引用させていただきます。




Tape_2


「カセットテープへの招待」




音楽とはとどのつまり空気の振動であり、
あなたの耳がデジタルでない限りアナログなのです。

昨今レコードやテープが見直されているのは
決してCDより音がいいからではなく
アナログ同士、相性が良いからだと思うんです。

興味があるなら、試してほしいです。
でも、あなたの周りにアナログの音楽がありますか?

今の音楽を、いいカタチで聴いてみてください。






アナログとは何か?ということについてはっ!と考えさせられる言葉。

曲を作る際に、アナログの質感、つまり音が自然に耳に馴染むような、
各楽器パートの交わる質感がグラデーションになるような、
音がきれいになりすぎず(音質が良いのと質感がいいのとでは意味が違う)などを
常に意識しますが、出来上がった作品はどうしても再生する媒体の
普及率に左右されリリースされます。

レコードプレーヤー、ましてやカセットデッキが普及していない状況では
作品形態はCDやデータにならざるをえないこともあると思います。

このことがいいのか悪いのかということではなく、
音の質にはたくさんの種類があって、
より人の感覚に近い音がアナログの質で、
それを聞くことのできるもののひとつに
カセットテープがあるということ。




自然の音が好きで、近くの公園や遠出をして森に行くことがありますが、
そこで聞こえる川のせせらぎ、鳥の声、虫の音、風と木々の音なんかを
聞いていると、いつまでたっても耳がしんどくない上に、それの一部に
自分がなっている感覚になることさえあります。

推測ですが、アナログの音というのは、本質的には
アンプなどで増幅せずに、それがそのまま空気を振動させて
伝わる音のことを意味するのではないかなと思います。

そういう音であれば、ずっと聞いていても疲れないし、
たとえ音量が小さくても人の耳で捉えることができるし、
静けさの中のかすかな音は、
いつしか感覚が研ぎ澄まされていくので、
それは決して小さな音ではなくなるかもしれません。




カセットテープは曲の電気信号を磁気に記憶させている構造であるため、
再生する際は、磁気を読み取る時に発するノイズや再生音、
テープへのトラックダウン時にわずかに収録されてしまった
ノイズも一緒に鳴ります。

それらは、今この時、まさに時間が進んで音楽が鳴っていることの証拠であり、
テープに込められた音楽が解放される際の音楽的ノイズです。

大げさかもしれませんが、もはやデータがそのままデータとして再生される
今の世の中において、あえてカセットテープで音を聴くという行為は
決して時代錯誤ではなく、自分の耳がアナログであるという感覚に気がついたり、
空気の振動が今まさに鳴らされていることにわくわくするための
絶好の機会になりえると思います。




学生の頃、収録時間を計算して、音量のダイナミックレンジや鳴り方を
試行錯誤しながら制作したカセットテープへ、
それ自体の存在へのオマージュ(=敬意)の意味も込めて、
今回の楽曲『Tape』にはメッセージを込めました。




Lyric

Let me tell you what (the) time is.

Let me tell you what (the) noise is.

Play a tape

Forever we love you with warm sounds.

People know forever still love you
in making sounds.






リズムトラックには自宅のカセットデッキの再生、停止音、
ノイズ、テープの挿入音、振動音などのサンプルを使用しています。

冒頭と最後に聞こえるサーっというホワイトノイズは
意図的にSEとして入れています。

DL音源をPCなどで聴いていただく際にも
この曲はカセットテープに収録されている音楽なんだということを
少しでも感じていただきたいという意図です。

どこかレトロな雰囲気を醸し出している
ギターの音色は絶妙で、メロトロンで弾いているような
blofeldの音と後半に登場するfluteのかすれ具合とも
相まってとてもぬくもりのある音楽に仕上がっています。

そしてそれらを導くかのような中域に特徴を出した
雫のvocalがレトロフューチャー的

テープのための音楽

その想いを込めました。




自分たちの耳が、鳴らされている音ではなくて、
鳴っている音を鳴っているままに聞くこと

それが素晴らしいと思いますし、
その行為がそもそもアナログな行為であると
今回のカセットテープでのリリースに関わって
改めて思いました。




7/24のリリースイベント直前まで
印刷、パッケージングなど制作作業をしていただいた
space dog recordのタクさんに心から感謝しています。

そして、素晴らしい楽曲でスプリットさせていただいたA.C.E.さん、
時間のない中、art workを制作してくれた雫にも
心から感謝しています。

ぼくらの想いが込められた『Reflection / Tape』(Format: cassette tape)
ぜひお楽しみください。




建水




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ご注文はtinörksのofficial siteから

Format: cassette tape
販売価格: 1,000円 (税込)
※DLコード付




[収録曲]
A面 A.C.E. / Reflection (To tape from hard disk)
B面 tinorks / Tape




※ダウンロードコードが付いていますので
カセットデッキをお持ちでない方も
PCやスマートフォンでお聴きいただけます。

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